家庭教育

不登校原因が母子関係のときの対処法!「問題所有の原則」がポイント

不登校原因が母子関係のときの対処法!「問題所有の原則」がポイント

不登校の原因は様々ですが、特に近年増えているのは親子関係・母子関係に起因する不登校です。

親子関係に起因する不登校でも、親からの家庭内暴力やネグレクトのような愛情不足のケースもあれば、親が甘やかしすぎて心理的依存関係が出来てしまっているケースなど色々なケースがあるのですが、そのなかでもここ数年で増え続けているのは過保護・過干渉タイプの親子関係による不登校です。

今回は、この過保護・過干渉タイプの母子関係による不登校の原因や対策について、詳しくまとめていきますね。

過保護・過干渉の母子関係とは

過保護・過干渉の母子関係

親にとって子どもはとても可愛いものです。

出来れば子どもに失敗してほしくないし、傷ついてほしくもないので、つい失敗回避のために先回りで指示を出したりしていつの間にか過保護・過干渉になってしまう気持ちもとてもわかります。

良かれと思って子どもに手をかけているため、親御さんご自身が過保護・過干渉であることを無自覚なことも多いのです。

それでは親が過保護・過干渉な場合は具体的にどんな会話がされているかというと、以下の会話が一例です。どこが良くないのか予想しながら読んでみてくださいね。

過保護な親の会話例

(子)ただいまー!テスト一週間前でテスト範囲と計画表が配られたよ!見て!

(母)お帰り、そうなのね。見せてごらん。あら、この計画じゃテストまでに提出物しか終わらないじゃない!もっとテレビの時間を削って勉強しないと。

(子)えー。計画表なんてみんな適当にに書いてるし、先生にも怒られないから大丈夫!

(母)何言ってるの!先生に怒られたら困るでしょ!夕方帰ってきてから夕飯までも勉強時間に書き直しなさい!

(子)ほっといてよ!

(母)お母さんに向かってそんな言い方して!あなたのためを思って言ってあげてるのよ!

家庭教育を学んでいる方であれば、ツッコミどころ満載の会話だったかと思います(笑)

子どもがやるべきことを子自身ではなく親が決めてしまっていること、共感せずにやることを子に押し付けていること、感情的になっていること…色々と改善点はありますが、ここでは「親が指示を出し過ぎている」ところに注目してください。

お母さんは「テレビの時間を削る」「帰宅から夕飯までも勉強時間にする」など、事細かに子どもの予定を決めてしまっていますね。相談も共感もないため、お子さんはかなり反発しています。

坂下
坂下
この会話を家庭教育を意識した会話にした例は、後ほどご紹介しますね!

過保護・過干渉の母子関係の問題点

過保護・過干渉の母子関係

現代は、子ども思いだからこそ、教育熱心だからこそ過保護・過干渉になっている親御さんもとても多いです。

しかし知らず知らずのうちに過保護・過干渉になっていると、お子さんの年齢相応の家庭内対応が取れず、家庭内で悪影響が出てしまう恐れがあるのです。

家庭内の過保護・過干渉によって起こる可能性がある代表的なことを、以下でまとめていきます。

子ども自身で言動できなくなる

過保護・過干渉の母子関係

過保護・過干渉の最大の弊害は、お子さん自身で考える力が身に付きにくいということです。

「もう宿題はやったの?」「明日はプールの準備が必要なんじゃないの?」と親が逐一指示・命令をしていると、子どもは何も考えなくても学校の準備が出来てしまいます。毎日「はーい」と返事をして親の言ったとおりにすることを続けていると、いざ子ども自身で1人で行おうとしてもやり方がわからずに怖くなってしまうのです。

「自分1人だとできない」「お母さんがいないとわからない」という恐怖が、不登校や引きこもりに繋がることが近年多くなっています。

責任を親に転嫁する

不登校の子ども

過保護・過干渉の弊害として盲点なのは「責任転嫁」です。

例えばお母さんが毎日「宿題はやったの?」と声をかけていた場合、もし声掛けをし忘れたときに「お母さんが言わなかったから宿題忘れたじゃん!」と言われる可能性があります。

本来ならば、宿題をやるかどうかは子ども自身の問題であり、宿題を忘れた責任は子ども自身にあるはずです。しかし、毎日お母さんが指示・確認をすることでいつの間にか「宿題をしたか確認するのはお母さんの仕事」という認識になり、それを忘れてしまったお母さんに責任があるように錯覚してしまうのです。

子どもが自己フィードバックしなくなる

不登校で自己フィードバックしない子ども

「責任転嫁」と似ているのですが、親御さん主導で指示・命令を続けていると、子どもは自分自身で反省して次に生かすという自分自身へのフィードバックをしなくなっていきます。

「今日は習字道具を忘れて登校してしまったから、次は忘れないようにどうしたらいいかな」と本来は考えるべきところを、「お母さんが言わないから忘れちゃった」で済ませて、自分自身で「次はどうする」を考えなくなってしまうのですね。

こういった思考回路が定着してしまうと、何もかもが受身の姿勢になってしまい、勉強だけでなく将来の仕事や人間関係にも影響が出やすくなります。

過保護・過干渉の母子関係にならない家庭教育方法

過保護・過干渉にならない母子関係の築き方

過保護・過干渉が家庭内に悪影響があることをお伝えしましたが、では過保護・過干渉にならないためにはどのようなことを気をつければ良いのでしょうか。

ここでは、つい過保護・過干渉にならないためのポイントをまとめていきますね。

「問題所有の原則」に則る

不登校の子ども

問題所有の原則とは「その問題は親の問題なのか子の問題なのかを明確に分ける」というものです。

つまり「子どものことは子ども自身で考えて行動させる」ということで、学校の支度や宿題の進捗管理などは全て子ども自身で責任もって対応させ、親は見守るだけで干渉はするべきではないのです。

実はこの問題所有の原則は、一見当然のように感じますが実は実行できていない親御さんがとても多く、過干渉・過保護傾向のご家庭では多くの親が子どもの問題を自身の問題と取り違えて所有してしまっているケースが多く見受けられます。

子どもの年相応の自立を目指すためには、「その問題は親の問題なのか子の問題なのか」を客観的に親が判断することが大切です。

子ども自身に考えさせる

家庭教育で家庭の悩みも不登校も解決

子ども自身に考えさせる習慣を作るのも、とても重要な家庭教育です。

例えば、リモコンでテレビの電源がつかないときに「お母さん、テレビの電源がつかない!」とお子さんに言われたら、どのように返しますか?「電池が切れてるんじゃないの?」とすぐに親が答えてしまうのは、お子さん自身が考えていないことになりますよね。

このような場合は「なんで電源がつかないんだろうね?!」とオウム返しをしたり共感を示したりするだけでOKなのです。電源がつかない理由をお子さんと一緒に考えて、お子さん自身があれこれ試行錯誤することが問題解決能力の育成、ひいては自立を促すことに繋がります。

親が子どもの失敗を許容する

不登校にならない母子関係

親御さんがつい過保護・過干渉になってしまうのは、もしかしたら親御さんの思考のクセや過去のトラウマが背景にある場合もあります。

例えば親御さん自身が子どものときに「忘れ物は絶対ダメ」「絶対にテストは100点じゃなきゃいけない」と親に言われて育った場合、忘れ物や成績に対して過剰に意識が向いてしまうはずです。そうすると「自分の子どもにも、絶対に忘れ物をさせてはいけない」という恐怖心が生まれ、つい過干渉になってしまいますよね。

こういった場合は、親御さん自身が「~べき」思考を脱却して、「失敗しても大丈夫」と思えるように肩の力を抜きましょう。失敗=ダメではなく、失敗から学ぶことができれば大成功なのです。

そうやって親御さん自身が自分の失敗も受け入れられて、お子さんの失敗も許容するゆとりができると、色々なことをお子さんに任せていくことができます。そしてお子さんも「自分は親から信じて任せてもらえている」と感じると、自ら考え行動する意欲が湧くものです。

そうして徐々にお子さんも自立していくと、親御さん自身も子育ての肩の荷が軽減して、お互いにゆとりが生まれ、良い循環を作り出すことができるのです。

「不登校原因が母子関係のときの対処法!「問題所有の原則」がポイント」まとめ

不登校の母子関係の築き方

「問題所有の原則」が家庭教育においてとても重要なことが、おわかりいただけたでしょうか。

それでは、冒頭の過保護・過干渉の会話例が家庭教育的視点で話すとどのような会話になるのかもご紹介しましょう。

家庭教育を意識した会話例

(子)ただいまー!テスト一週間前でテスト範囲と計画表が配られたよ!見て!

(母)お帰り、そうなのね。見せてごらん。この計画でテストまで頑張るのね!(計画を立てて実行するのは子どもです。子どもの決めた事に提案せず、一度受け止める事が大切です。)

(子)うん!計画表って言っても皆適当に書いてたりするからね。

(母)テストに向けて計画を立てるのも大切だけど、計画表を作る作業も大変ね。(計画表を重要と感じていない場合、内容ではなく、表を作る作業にも共感してあげましょう)

(子)そうそう。計画を立てたからってそれ通りにできるとは限らないんだよ、中学生は!お母さんよくわかってるね!でも、もう一度計画表見直してみようかな?(共感してもらい子どもに余裕ができる)

(母)自分の計画表だから、色々考えて書いて良いのよ。(親が子どもを動かさない。子ども自身が自分の問題と感じ自ら動き出す事が大切です。)

(子)うん!そうだね!ちょっと書き直して頑張ってみるよ!

いかがでしたか?

これはあくまでも問題所有を分けて良い流れになった会話例ですが、問題所有を分ける事で、親自身もイライラせず対応する事ができます。

イライラの原因は、子どもの問題を親の問題と感じ、子どもを親の思うように動かそうとするからイライラしてしまうんです。

計画通りに勉強せずテストで低い点数を取って困るのはあくまで子どもであって、お父さんお母さんが居残りをして勉強をさせられる訳ではありませんよね。

不登校や登校拒否のお子さんを持つ家庭ではこの問題所有が取り違えている事があります。言うことを聞かない、ワガママな子と片づけるのではなく、親が問題所有を取り違えていないか見つめ直してみてください。

子どもの問題は子どもに考えさせ、失敗も成功も同じ様に経験させる事が子どもの自立に繋がっていきます。