不登校の子どもを持つ親御さんにとって、子どもの心身の健康は心配になることも多いのではないでしょうか。
特に、不登校の子どもが学校へ行けないストレスから食欲が低下することは少なくありません。
この記事では、思春期の体調変化、食欲低下で考えられる病気、成長期に必要な栄養素、家庭教育における親の対応の重要性について、最新のデータや心理学的観点から詳しく解説します。
思春期の子どもの体調変化

思春期は、子どもが身体的・精神的に大きく成長する時期です。
この時期にはホルモンバランスが大きく変化し、自律神経の働きが不安定になることがあります。
特に、自律神経の乱れは「朝起きられない」「なんとなく体がだるい」「頭が重い」などの体調不良をきっかけに、食欲の低下にもつながります。
具体的には、以下のような症状が見られます。
- 疲労感やだるさ
成長ホルモンの増加により、体がエネルギーを大量に消費し、疲労を感じやすくなります。 特に、夜更かしが続くと慢性的な疲労感を感じるようになります。 - イライラや集中力の低下
思春期の子どもは、状況が不安定になりやすく、ちょっとしたことでイライラしたり、勉強に集中できなくなったりします。 午前中は血糖値が下がりやすいため、朝ごはんを食べないとさらにイライラしやすくなります。 - 睡眠リズムの乱れ
夜更かしやスマホの使用時間の増加により、寝つきが多くなり、朝起きられないという生活リズムの乱れが発生します。これにより、朝ごはんを食べずに過ごすということも多くなります。
このような思春期特有の体調変化を見極め、無理に「ちゃんと食べなさい」と指摘するのではなく、子どもの体調に合わせた対応が重要になります。
食欲不振で考えられる病気

食欲が低下している場合、思春期特有のホルモンバランスの変化だけでなく、思春期特有の病気が関係している可能性もあります。
特に注意が必要な疾患を以下に挙げます。
- 摂食障害(拒食症・過食症)
思春期の子どもは、特に女子においては「もっと痩せたい」という願望が強くなり、過度なダイエットに走ることがあります。 あまりにも過度なダイエットは、拒食症(神経性無食欲症)や過食症(神経性大食症)といった摂食障害に発展する可能性があります。 厚生労働省の調査では、日本における摂食障害の患者数は年々増加しており、10代の女子にも多く見られるようになりました。 - 思春期のうつ病
思春期のうつ病には「気分の落ち込み」「興味の喪失」「疲労感」「食欲の低下」などが挙げられます。 特に、言葉では表現しにくい思春期の子どもにとっては、「なんとなくお腹が空かない」といった形で心の不調が現れることがあります。 - 起立性調節障害(OD)
思春期の子どもに多い疾患のひとつで、朝起きられない、めまいがする、頭痛がする、といった症状が現れます。自律神経のバランスが乱れやすく、血流が不安定になることで食欲不振や倦怠感を感じることがあります。
食欲不振が続く場合は、医療機関や専門家に相談することが大切です。
成長期の子どもに必要な栄養素

成長期の子どものために、十分な栄養摂取は心と身体にとってとても重要です。
食欲が低下した状態が続くと、栄養不足により健康を害する恐れがあります。
以下の栄養素を積極的に摂取することが重要です。
- たんぱく質(肉・魚・卵・大豆製品)
筋肉や臓器の成長にはかかせません。免疫力を高める働きもあります。 - カルシウム(牛乳・チーズ・小魚)
骨や歯を強くするために必要です。 思春期は骨量が増えるため、カルシウムは特に重要です。 - 鉄分(レバー・ほうれん草・ひじき)
貧血を防ぎ、集中力を高める効果があります。 特に女の子は鉄分が不足しがちなので意識的に摂取することが推奨されます。 - ビタミンB群(豚肉・玄米・バナナ)
代謝エネルギーを助け、疲労回復に役立ちます。
食事が進まない場合は、スープやスムージーなど消化しやすい形で栄養を補うのも一つの方法です。
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家庭教育における親の対応の重要性

家庭教育とは、家庭の中で子どもが学ぶ価値や生活習慣、親子の関わり方を考え対応することです。
食欲不振は単に体調不良だけでなく、心理的なストレスや家庭環境の影響を受けることが多く、家庭教育の在り方が食欲に大きく関わっています。
家庭環境と食欲の関係

安心してリラックスできる家庭環境が整っているかどうかは、子どもの食欲に大きな影響を与えます。
- 食事の時間がストレスになっている
→「早く食べなさい!」「食べ終わるまで何もさせません!」と怒られることが多く、食事の時間が苦痛になり、食欲がなくなることがあります。 - 親が不安定で家庭内が緊張状態になっている
→親がイライラしていたり、夫婦喧嘩が多かったりすると、子どもは不安を感じ、食事がのどを通らなくなることもあります。 - 過度に栄養バランスを気にしすぎる
→ 「これを食べなきゃダメ」「好きなものばかり食べちゃダメ」 そう言われて、食べること自体にプレッシャーを感じ、食欲が落ちることがあります。
- 食事の時間を楽しくする:「おいしいね」とポジティブな会話を増やす、笑顔で食卓を囲む
- 子どもに選択肢を考える:「何を食べたい?」と聞いて、自分で決めさせると食欲が出やすい
- 親もリラックスする:親が楽しそうに食べると、子どもも安心して食べられる
不登校の心理的ストレスと食欲不振の関係

心理学的にみても、ストレスは食欲に大きな影響を与えます。
特に、「親の接し方」がストレスの原因となることがあります。
- 親の期待がプレッシャーになっている
→「勉強しなさい!」「将来のために頑張らないと!」とプレッシャーをかけられすぎると、心が疲れて食欲が落ちてしまうことがあります。 - 過干渉・過保護で自由がない
→何を食べるか、どれくらい食べるかまで親が決めてしまうと、子どもは「食事を楽しむ」よりも「親の期待に応えなければならない」とストレスを感じてしまいます。 - 親が厳しく叱りすぎる
→「食べないとダメ!」「ちゃんと噛みなさい!」と厳しく指導すると、子どもは緊張してしまい、食べることに抵抗を感じるようになります。
- 「食べやすさ」を重視する:「ちゃんと食べなさい」ではなく「この料理どう?」と会話を増やす
- 完食を強制しない:「お腹がいっぱいなら無理なくていいよ」と安心感を考える
- 子どもに選ばせる:「どの野菜を食べたい?」と選ぶと、自分で決めた量を食べやすい
食の経験を増やすことで改善できること

家庭教育では、「食べることへの興味」を育てることも大切です。
子どもが食に興味を持つことで、好き嫌いや食欲不振の改善につながることがあります。
- 一緒に料理をする:「自分で作った料理は食べたくなる」という心理を利用する
- 食材選びに参加させる:「どの野菜にする?」とスーパーなどに買い物に連れて行く
家庭教育で「食べることの大切さ」を伝える

食事は規定栄養を摂るだけではなく、家族のコミュニケーションの時間でもあります。
家庭教育の中で、「楽しく食べることは、豊かな経験である」ということを伝えましょう。
- 「ありがとう」を習慣にする:「ごはんを作ってくれてありがとう」と感謝の気持ちを育てる
- 家族で食事の時間を大切にする:平日が忙しければ週末だけでもみんな一緒に食卓を囲む
- 「完食=偉い」ではなく、「食事を楽しむ」ことを重視する
「不登校ストレスで食欲不振?子どもの心と食事の関係」まとめ

思春期の子どもの食欲低下には、ストレスやホルモンバランスの変化、病気などが関係している可能性があります。
食べることは、単純な栄養補給ではなく、「生きる力」を育むものです。
親が子どもの変化に気づき、無理のない範囲でサポートすることで、子ども自身が自らのペースで回復していくことを支えていきましょう。
