皆さんこんにちは!
不登校に悩む親御さんのカウンセリングや、不登校に役立つ情報を発信している家庭教育推進協会です。
令和5年10月4日に文部科学省から最新の不登校の統計が発表されましたが、やはり令和4年も不登校数は大きく伸びていましたね。10年連続で増加し、令和4年は過去最高人数です。
このように不登校や引きこもりの子が全国的に増えるにつれて、不登校にまつわる色々な「噂」を良く聞きます。例えばゲームに関することも、色々な情報がまことしやかに語られます。
- ゲームばかりしていると目が悪くなる
- ゲームばかりしていると怒りっぽくなる(キレやすくなる)
- ゲーム依存になると不登校になりやすい
このようなゲームに関する噂は本当なのでしょうか。
今回は不登校とゲームについて私の考えをまとめていきたいと思います。
不登校の子はゲーム三昧・依存症になりやすい?
「ゲーム依存になると不登校になりやすい」の噂ですが、実際に訪問カウンセリングしていると、不登校でご相談頂いたお子さんがゲーム依存だったことはよくあります。
ただ、必ずしも不登校だからゲーム依存ということももちろんないですし、ゲーム好きでも毎日登校できている子どももたくさんいます。
ゲーム自体がダメなのではなく、ゲーム中心の生活になってしまうのが良くないのです。
不登校の子がゲーム三昧になる理由
不登校になると、次第にゲーム時間が長くなっていくことは良くあります。
ゲーム時間が長くなるのを防ぐためには、なぜゲーム依存になってしまうのかの原因を探ることが重要です。
個人的には、以下の要素が不登校の子をゲーム依存にしてしまう気がしています。
暇つぶし
不登校や引きこもりの子は学校や仕事に行けないという状態なので、必然的に家にいる時間が増えます。
家で暇ならば勉強できたら良いのですが、「暇だから勉強する」という子はレアですよね(笑)時間があると、やはり遊びに意識が向きがちです。テレビ、本、料理…暇つぶし方法は色々ありますが、身近にゲームやSNSがあるとその手軽さからハマってしまうんですよね。
ゲーム会社も人間の心理を研究してゲームを作っているので、「ついゲームしたい」と思われるように巧妙に作り込んでいます。そのためゲーム時間は長くなりがちで、親がゲーム時間を決めるなどしないと何時間でもやってしまいます。
この「手の届きやすさ」、「制限なくできる」かどうかがゲーム依存になるかに大きく関わると思います。
現実逃避したい
不登校の子は、本来は行かなければいけない学校を休んでいることに罪悪感を抱えたり、焦ったりしていることが多いです。
不登校であることに負い目を感じていない子ならば良いのですが、「本当は学校に行きたいのに、行けない」というジレンマを抱えている子ほど精神的ストレスも大きいです。
その結果、現実逃避の1つの手軽な方法としてゲームにのめり込んでしまうのですね。
ゲームで友だちができる
不登校になると、外出さえしない子も多いです。すると、友だちとの関係性も希薄に感じられて寂しく感じることもあるでしょう。
そんなとき、オンラインゲームであれば気軽に友だちができます。
人と会話する楽しさを覚えると、その人間関係を維持したくてゲームをすることもあります。
ドーパミンの影響
ゲームやSNSで興奮すると、脳からはドーパミンという物質が放出されます。
ドーパミンは満足感や快感をもたらす物質で、アルコールや薬物などを使用すると多く放出されます。アルコールや薬物依存につながるドーパミンがゲームでも出ると思うと怖いですよね。
このドーパミンの放出される頻度が多くなり過ぎると、脳の中では徐々にドーパミンに対する感受性が低下します。その結果、ゲームの快感を得ようとするとどんどん時間が長くなり、執着してしまうのですね。
不登校時のオンラインゲームは要注意
私は15年以上不登校支援の訪問カウンセリングをしていますが、子ども達を長年見ていると、依存しそうなゲームには共通点がある事に気づきます。「オンラインプレイ」というものです。
オンラインゲームは家や外出先からインターネットを通じて世界中の参加者とゲームできますよね。昼夜逆転していても24時間参加者が集まるので、いつでも、いつまでもゲームが楽しめてしまいます。
このオンラインゲームと不登校は非常に相性がいいと言いますか、悪循環に拍車がかかりやすいです。
- 友だちと会えなくて寂しい→24時間いつでもプレイヤーと繋がることができ、共通の話題がある
- 顔を見る事なくチャット交流できる→自分を表現するのが苦手な子でも「対面じゃなければ自分らしくいられる」と気楽な居場所になる
- 不登校で時間があると、他の人より有利にゲームを進めることが出来る→ゲームで人に勝つ喜びを知ってしまう
- オンラインゲーム上の仲間から頼りにされる(時にはゲーム上の役職・役割があることも)→頼られるうれしさ、責任感からもっとゲームにのめり込んでしまう
このように、不登校だからこそオンラインゲームにはまってしまいやすい環境があるのです。「不登校」という現実を忘れて、単なる1人のプレイヤーとしてゲーム上では振舞うことができます。引きこもる罪悪感を感じなくて済むのです。
不登校時にオンラインゲームが絶対ダメと言うわけではありませんが、長時間プレイを習慣化しないようにする等して、ゲーム依存にしないように十分に注意したいところです。
不登校の子のゲーム依存症を改善する方法
冒頭でも書いたように、ゲーム自体は悪いものではありません。しかし、何かをきっかけに依存状態になることは避けたいですよね。
ゲームに執着していると思われているお子さんも、もしかしたら「ゲームをやめたい」と思っているのに出来ないのかもしれません。それが依存症の怖いところです。
そのため、「ゲームばかりしているのは怠けている」「ゲームをやめられないのは甘えだ」とは言わずに、ゲームに依存してしまう心理の裏には何があるのかを気を付けてみてあげてください。
具体的には以下の方法がおすすめです。
ゲーム以外の息抜き方法を見つける
ゲーム依存症から抜け出すために、家庭でできる方法の1つは「ゲーム以外の息抜き方法を見つける」です。
暇つぶしに、なんとなく手軽にゲームをしてしまう状態から抜け出すのです。少しの時間でもいいので、まずはゲーム時間を短くする、ゲームのことを忘れる時間を増やすところから始めましょう。
「一緒に料理しよう」等誘ってみても、おそらくは「え~…やだ」「面倒だよ」「お母さん一人でやれば?」と言った反応がまずは返ってくるかと思いますがここで諦めないでください。最初は乗り気でなくても、やり始めると意外と楽しいということは良くあるため、その最初の一歩をなんとか踏み出しましょう。
まずは多少強引にでも、ゲーム以外のことを一緒にする時間を持ってみてください。
ゲーム以外の友だちと交流する
ゲーム以外の友だちと交流することも大事です。
ゲーム内での友だちとばかり関わっていると、ゲームが居場所になってしまい心の拠り所となり、ますます依存してしまいます。
昔ながらの友だちと公園で遊んだり、身近に友達と遊べる環境がなければサマーキャンプなどのイベントに参加するのもおすすめですね。
ゲーム依存症を自覚する
依存症を自覚するというのも非常に大事です。
不登校になって家族とばかり接していると、自分がいかにゲームに時間を割き過ぎているか、執着しているかの感覚が麻痺していきます。
そのため家族との対話と通して「いかに今の自分が異常な状態か」「この状態が続いても自分のためにならない」「ゲームで勝ったところで、現実世界じゃ役に立たない」ことを自分で気付く必要があります。
病院や専門機関を受診する
ゲーム依存、SNS依存など、一度依存症になってしまうと本人の力だけでは回復するのが難しいため、病院や専門機関を受診することも視野に入れると良いでしょう。
依存症の対処法として、一般的には以下のような方法があります。
- 病院での診察
- カウンセリング
- 治療プログラム
- 入院治療
依存の状態によって治療法が変わりますが、治療プログラムの中でも最近注目を浴びているのはアメリカの心理学者プロチャスカが提唱した「行動変容ステージモデル」です。
行動変容ステージモデルとは、人がよい行動を身に付けたり、マイナスとなる行動をやめたりするには以下の5つのステー ジを経るというものです。
- 無関心期
- 関心期
- 準備期
- 行動期
- 維持期
それぞれのステージに合った対応を意識して依存症克服を目指すという手法ですが、家庭教育推進協会でも以前セミナーを開催したことがあるので、気になる方はアーカイブを覗いてみてくださいね。
「不登校の子がゲーム三昧になりやすい理由!依存症の対処法も紹介」まとめ
不登校や引きこもりの子ども達がゲームに依存する背景には、現実逃避や友だちと繋がれる快適さなどがあり、そのうちにドーパミン等の身体的影響からゲーム依存に繋がってしまうことが考えられます。
ゲーム依存になってしまったら、子ども達の心の背景を見落とさず、ゲームに依存している状況を家族で話し合ってみましょう。
依存症は回復するまで時間も労力もかかりますが、家族の助けがとても大きな力になります。対応方法に迷ったら、専門機関でカウンセリングしてもいいですし、当協会でもご相談を承っていますので、ご家族だけで抱え込み過ぎないようにしていきましょう。