長年不登校支援をしていますが、小学・中学・高校で一番対応が難しいのは高校生だと思います。
小さいうちは大人の言うことも素直に聞きやすいですが、高校生ともなれば自我も確立して親への反発も大きいですし、体の大きさや力も親より上回っていると何かの拍子にケガに繋がったりして、「慎重に進めなければいけない」と親御さん自身も感じているのではないでしょうか。
不登校対応では、「やるべきこと」はもちろんですが、「やらないこと」「やるべきではないこと」に注意することも重要です。そこで今回は、やらない方が良い不登校の対策法についてまとめたいと思います。
高校1年生の不登校のNG対策法
環境がガラリと変わる高校1年生。
ちょうど大人と子どもの間という立ち位置なので、親としても対応方法に迷われることも多いと思います。
もし迷った際は、以下のことをやらないことを意識してみてくださいね。
【高校1年生の不登校のNG対策法①】無理やり高校に連れていく
不登校になった際、無理やり高校に連れていくことは避けましょう。
その理由の1つ目は、無理に高校に連れて行くと本人が納得していないので、すぐに不登校が再発する可能性が高いからです。勇気を出して再登校しても、再不登校になると子どもの自己効力感も低下してしまいます。
理由の2つ目は、親への信頼が揺らぐからです。無理強いすると「僕の気持ちをわかってくれない」「味方なんていないんだ(絶望)」の気持ちになり、さらに自分の殻に引きこもることになりかねません。
もう高校生なので、1人の人間として、行きたくない理由などの対話を大事にしましょう。「親は僕の話を聞いてくれる」と子どもが感じていることが大事です。
【高校1年生の不登校のNG対策法②】正論で問い詰めない
正論で問い詰め過ぎないことも大事です。
「このまま出席日数が足りなくなったらどうするつもり」「多少嫌なことがあっても、みんな登校しているんだよ」などの正論は、親としてはつい言ってしまうかと思います。しかし、正論ばかり言っていると、子どもに反発されやすくなってしまいます。
正論を言うときは、できるだけ共感も示しながら話すようにしましょう。
「あと〇日休んだら、出席日数が足りなくなる」などの事実は、事実として本人に伝えなければいけませんが、「これからどうしようと思っているの?」と本人の意思を確認したり傾聴する姿勢を示しながら話してください。
そして、良くあるのはお父さんが正論で問い詰めるケースです。「そんなんで社会に出てやっていけると思っているのか!」などと問い詰めてしまうことがあるのですが、以下の記事も参考にお父さんにも理解を求めましょう。
そしてどうしても会話にならないときは、第三者に頼るのがおすすめです。
子どもはどうしても親には甘えてしまうので、反発したり素直に言うことを聞かないこともあるでしょう。しかし、第三者の大人であれば、「他人」という適度な緊張感ですんなり聞き入れてくれることも多いからです。
もし高校生の不登校の対応方法で迷った際は、家庭教育推進協会でもご相談を承っておりますのでご連絡くださいね。
【高校1年生の不登校のNG対策法③】ずっと待ち続ける
スクールカウンセラーや心療内科でカウンセリングすると「心のエネルギーが溜まるまで待ちましょう」と言われることも多いです。確かに、いじめなどで心が深く傷ついた場合などはゆっくり休息をとらなければいけません。
しかし、現代の不登校で多数を占めるのは「無気力・不安」の不登校です。なんとなく学校に行きたくない場合、本人も行きたくない理由がよくわからないまま数か月、数年が経過してしまうことも珍しくありません。
そして時間が経過した後にふと我に返って「もう勉強に追いつける気がしない」「もうだめだ」と打ちひしがれてしまうのです。特に10代の子の数か月はとても貴重です。後から後悔しないために、ただ待つのではなく、親が働きかけて待つだけの時間を減らすのが大事です。
【高校1年生の不登校のNG対策法④】無理にゲーム・スマホを取り上げる
ゲーム・スマホ依存の子は、不登校になると昼夜逆転して日中身体がだるくなり、ますます登校しにくくなるケースも多いです。そのため、「ゲームやスマホを取り上げれば、昼夜逆転が改善して学校に行けるのでは」と考える親御さんがとても多いです。
しかし、既に依存症になっている場合は急に取り上げるのはおすすめできません。心の拠り所であるゲーム・スマホを奪われたことで、暴れたり家を飛び出したりするからです。
家庭教育推進協会でも不登校解決のために一時的にスマホ・ゲーム制限をかけるケースもありますが、あくまでカウンセラーがカウンセリングしたうえで、必要と判断した場合に慎重に制限をかけていきます。
ゲーム・スマホ依存症の場合は、不登校だけでなく、ゲーム・スマホ依存も同時に改善できるよう働きかけていくことが重要です。
【高校1年生の不登校のNG対策法⑤】安易に通信制高校に転校する
どうしても今の高校に行けないという場合、通信制高校などの別の高校に転校する選択肢もありますよね。不登校支援者として、このような不登校の子の選択肢が増えていくのは良いことだと思っています。一方で、安易に転校するのはおすすめできないとも思っています。
確かに通信制高校は自由で、子どもが伸び伸びできる環境かもしれません。しかし、朝にゆっくり登校できる、勉強しなくてもいい、レポート提出がない等の自由さは、高校生のうちはいいですが、大学受験や社会人になったときに選択肢が狭まる可能性もあります。
そのため、まずは今の高校に本当に行けそうにないのかを見極めることが大事だと思うのです。
そのうえでどうしても今の高校が合わない場合は、転校するのも良いと思います。
【高校1年生の不登校のNG対策法⑥】親が右往左往・一喜一憂する
学年を問わず、不登校の対応で一番大事なのは「親がどっしりと構える」ことかもしれません。
子どもが不登校になると、親御さんはお子さんを案ずるが故に色々迷って、毎日悩んで、ネットで検索しては余計に迷って…となるかと思います。
- ネットでは「学校を休んでもいい」と言う人と、「休んでいいと安易に言ってはダメ」と言う人がいる。どうしたらいいの?
- 優しく接しようと思ったのに、つい感情的に怒鳴ってしまった…どうしよう
- 子どもと話していたら急に暴れ出した…!私がダメなの?どうすれば良かったの?
このように色々悩まれるのは、お子さんを大事に思っているからこそです。しかし、「学校を休んでもいいよ」と言った翌日に「行った方が良いよ」と言うなど、親がバラバラな対応をしていると子どもは混乱し、親への信頼が揺らいだり不登校が悪化することもあります。
そのため、親は一貫して同じ態度・立場を取り続けることが大事です。内心は不安だとは思いますが、不安を外に出してしまうとお子さんも一緒に不安になってしまうため、不登校対応については親がぶれない軸・信念を持ちましょう。夫婦で一枚岩になることも大事です。
どうしても不安になりやすい親御さんは、まずご自身のやり切る覚悟を固めるところから始めましょう。「どういうスタンスで不登校対応するか」を最初に決めるのです。
家庭教育推進協会はメールや電話で親御さんへのカウンセリングも行っていますので、対応方法に迷いやすい方、家庭教育・家族療法を軸に不登校対応をしたい方、こまめに相談されたい方におすすめです。
「高校生の不登校のNG対応6つ!大事なのは親の覚悟と待ち続けないこと」まとめ
いかがでしたか?
不登校の対応は、親御さんにとって辛いことがたくさんあると思います。たくさん迷って、不安になることも多いでしょう。迷うからこそ、どのように対応していこうかという軸を持つことがとても大事です。
親御さんの不安や悩みは、お子さんに伝わります。一緒に不安の波に流されないように、そして親御さん自身の不安を軽くするためにも「迷い」を少なくすることが大事です。
人間は、迷っている間が一番辛いのです。「ダイエットするの、辛いだろうなぁ…」とやるかどうか迷っているときは辛くても、決心して毎日腹筋を始めたら意外と辛くないことってありますよね。
本来、筋トレをしているときが辛いはずですが、行動を起こしている間は辛く感じにくいです。これは「迷い」がなくなったからです。
不登校対応でも、迷っている間が一番辛いので、まずは行動してみましょう。「やらないこと」も決めて、淡々と実行していきます。そして、親が迷わずに、ブレずに対応する姿勢が大事なのです。
もし対応方法に迷う際は、当協会でもご相談をお受けしていますので、ご連絡くださいね。