家庭教育

不登校における父親の役割まとめ!取るべき対応とNG対応

不登校における父親の役割まとめ!取るべき対応とNG対応

「子どもが不登校になった」とご相談頂くとき、お母さんからのご相談が9割以上な気がしています。そのお母さん方を見ていると、かなり悩まれてご自身で試行錯誤されてからご相談に来られる方がほとんどなのですが、お子さんやご家庭の状況を伺っているとお父さんの影が薄いことがとても多いんです…

そして詳しくご状況を伺っていると、不登校のお悩みだけでなく「夫が協力してくれない」「主人が不登校について理解がない」というお母さんの悩みや孤独も浮かび上がってきます。

実はこのような「母親に任せっぱなし」は、家庭教育の観点から言うと良くない状況です。なぜなら、不登校解決や家庭内問題の解決には、父親は重要な役割を果たすからです。

今回は不登校における父親の役割と、父親が取るべき対応ポイントについてまとめていきます。

家庭内における父親の役割

家庭内における父親の役割

そもそも、不登校の有無は関係なく、家庭内における父親の役割はどのようなものなのでしょうか。

家庭教育において重要な父親の役割・概念について、まずはまとめていきますね。

父性と母性

不登校児の父親の役割。 母性と父性について

家族療法の考え方では、家庭内では父親と母親がそれぞれ父性・母性の役割を担っていて、父性・母性のバランスが崩れたり機能しなくなると、家庭内でトラブルが起きると考えます。

家庭内における父性・母性の役割

【父性】厳しさ、傍観的(距離を取って見守る)、社会性
→父性が強すぎると、精神的に不安定になって攻撃性が出てくることも

【母性】優しさ、受容的
→母性が強すぎると、子どもが甘えて自立しにくくなり、母子依存に繋がることも

ここでいう父性と母性は、性別ではなく、あくまで「役割」のことです。ご家庭によっては母性溢れるお父さんと父性溢れるお母さんの場合もあるでしょう。

また、お父さんやお母さん1人で、父性と母性を自然と使い分けていることもたくさんありますよね。大事なのは「役割のバランス」であり、一人親の場合でも父性と母性をバランスよく切り替えて対応していくことが重要です。

子どもの成長に合わせて父性を発揮

子育てにおける父親の役割

生まれたばかりの赤ちゃんは、人に頼ることしかできません。言葉で伝えられなくても、こちらが察しておむつをかえたりミルクをあげたりする必要がありますね。この段階では、母性全開での対応が求められます。

しかし、2~3歳で外遊びをするときなど、少しずつ「見守り」という父性が必要になってきます。身の危険がある場合を除いて、子どもの好奇心のままに行動させてみるなど、1人の意志ある人間として徐々に対応していきます。

そして幼稚園・保育園に入園する頃は、親と離れる時間が長くなってより自立が必要になりますね。小学生にもなれば、持ち物の管理や宿題など自分の責任で行うことも増えていき、親は「子どもに任せる」機会も多くなります。

このように、子どもの年齢が上がるにつれて、父性が必要な機会が増えていきます。このバランスがとても重要で、お子さんの性格や気質、発達状況に応じて父性を発揮していきましょう。

子どもが不登校になったときの父親の役割

子どもが不登校になったときの父親の役割

お子さんが自立し成長する過程において、父性が重要であることは前述のとおりですが、不登校においても父性は重要な役割を果たします。

子どもが不登校になったときの父親の役割(父性)を見ていきましょう。

社会性を与えること

不登校になったときの父親の役割は社会性を与えること

お子さんが不登校になったときの父性の役割で最重要なのは、子どもに社会性を与えることです。

家庭内は子どもにとって安全地帯ですが、ずっと家にいるわけにもいきません。勇気をもって外に出る、人に話しかけてみる、嫌なことがあってもめげない、怖い人がいても気にしない…そういった強さを教えてあげることは父性の役割です。

特に近年の子どもは《男の人=怖い=叱られる》という認識があり、「担任が男の先生だから学校が怖い」と言って不登校になることも増えてきました。社会人になっても「男の上司がイヤ」という若者も増えています。

しかし、子どもが将来自立して生きていくためには、怖い人や苦手な人ともうまく付き合って耐性をつけていかなければいけません。ときにはビシッと叱ったり、苦手なことも挑戦させたりするのが父性の役割です。つまり父性対応とは、社会性を認識させることでもあるのです。

自信を与えること

不登校時の父親の役割は父性対応がカギ

子どもに色々挑戦させたり、失敗するとわかっていても敢えて放っておいて自分で試行錯誤させるなどするのも父性の役割です。

そうやって子ども自身で考えて挑戦すると、子どもは達成感を感じることができます。たとえ失敗したとしても、自分で行動できた満足感や充足感が自信に繋がるのです。

自信を持っている、自己効力感がある子どもは、不登校や引きこもりにもなりにくいです。

坂下
坂下
自己効力感とは「自分はやったら出来る人間だ」と思えることです。「頑張ったら報われるはず」と思えることで、活動するエネルギーが湧いてきます。

母親を孤独にしないこと

子育てする母親

一般的に、父親よりも母親の方が子どもと接してきた時間も長く、もし不登校になった際もお父さんが感じている何倍もの不安や自責の念をお母さんが抱えていることが多いです。

そんなときこそ、お父さんが支えてあげてください。お母さんの話や不安なことを聞き、育児を一緒に取り組んでいく姿勢を見せるだけでお母さんは精神的に安定し、不登校対応にも余裕が出て、結果お子さんの気持ちにも余裕が出て…というサイクルができるのが理想的ですね。

特に男の子からすると、お父さんは将来の自分の理想像でもあり、見本でもあるのです。お母さんを支える頼もしいお父さんの姿を見せることは、生涯に渡ってプラスの影響を与えるでしょう。

子どもが不登校になると父親がやりがちなNGポイント

不登校の子どもに対して父親がやってしまいがちなNG対応

お子さんが不登校になると、お父さんがついやってしまいがちなNG対応がいくつかあります。

ここでは、お父さんが取るべきではないNG対応についてまとめますね。

無理に登校刺激をする

父親による無理な登校刺激はNG

子どもが不登校になったとき、よくお父さんがやってしまいがちなことは無理な登校刺激をすることです。

「なぜ学校に行かないんだ?」「そんなんで将来生活できると思ってるのか!」など、子どもがダメだと否定したり、無理にでも行かせようと責め立ててしまうことも実際はよくあります。

これはお父さん自身が、いつもプレッシャーと戦いながら仕事していたり、家族を養わなければと頑張っているからこそ出てしまう言葉かと思いますが、不登校の原因がはっきりしない状態などで登校刺激をしても逆効果ですので、ここはグッと堪えてください。

頭ごなしに叱っても「お父さんは僕の話を聞いてくれない」と諦められ、信用を失って、話を聞いてくれなくなることが多いため、まずはお子さんの話を否定せずに傾聴するところから始めましょう。

子どもの状況を詳しく把握していない

父親との関係に悩む子ども

日本の家庭は、育児家事の荷重が母親に偏りがちです。

子どもが小さい頃から育児を母親に任せているため、そもそも父親が子どもの状況を普段から把握していなかったり、家庭内で会話がほとんどない方も多いです。それなのに、普段から会話がないことにすら気づいていないお父さんも…。

そしていざ不登校になったときに、子どもとろくに会話すらできないことに気付いて焦り、不安からつい厳しい言葉を発してしまったりするのですね。

日頃から家族で会話することを意識して、お子さんが好きなことや興味のあること、どういうときにやる気が出るのかなどを把握しておきましょう。

母親任せ

不登校対応を母親任せにする父親

子どもが不登校になっても育児を母親任せのお父さんも一定数います。「俺は仕事で忙しいから」が口癖のタイプですね。

子どもは意外と繊細ですので、一見そうは見えなくても「私のせいでお父さんとお母さんがケンカしてる」と思い詰めてしまうこともあります。特に不登校の子どもの前での夫婦喧嘩は極力避けましょう。

ただ、父母が意見衝突するなかでもお互いに交渉したり譲り合ったりしながら一緒に生活すること、仲直りするプロセスを見せることも一種の教育でもあります。夫婦とはいえ元々は他人同士なので、そもそも意見が違うことは当たり前なんですよね。

子どもが精神的に安定してきたり成長して大きくなってきた際には、そういった親のリアルな姿を見せることも家庭教育的にはアリではあります。その場合はしっかり仲直りしてくださいね(笑)

子どもが不登校になったときの父親の対応ポイント

子どもが不登校になったときの父親の役割

ここまでは父親のNG対応について見てきましたが、では実際に取るべき対応はどのようなものなのでしょうか。

子どもが不登校になったとき、父親だからこそできる、取るべき対応をまとめていきます。

早めの対応開始

不登校に悩む親

現代日本社会では、育児は母親ばかりが担って父親はあまり関わっていないことも多いです。

特に不登校になりたての頃は不登校解決に重要な時期にも関わらず、まだことの重大さに気が付かずに子どものことは母親任せというお父さんが多いです。しかし、特にお子さんが男の子で中高生の場合、お母さんがちょっと押されたり取っ組み合いになったりして骨折…ということも実際あります。

不登校はなりはじめの対応で再登校しやすさがかなり変わるため、不登校になったら、早めにお父さんも対応し始めることが大切です。

無理な登校刺激をしない

家庭教育で不登校も解決

前述しましたが、子どもが不登校になると無理な登校刺激をしてしまうお父さんが多いです。

お子さんの将来を心配するあまりについ鼓舞しようとしてしまう気持ちもわかりますが、お子さんの状況や不登校原因がはっきりしないままで登校刺激をしても悪化することが多いです。そのため、無理な登校刺激や批判はやめましょう。

子どもを否定しない

不登校の子ども

子どもを否定しないことも大切です。

「お父さんは不登校なんてしたことなかった」「そんなにクヨクヨしていたら将来仕事もできない」「勉強が遅れたら受験できないぞ」などの言葉は、弱っている子どもの心に突き刺さり、後々トラウマのようになることも。もちろん不登校解決にも逆効果です。

子どもはよく母親ばかりに甘えて父親に懐いていないように見えることもありますが、実際はお父さんを尊敬しているものです。その尊敬する父親から否定されたからこそ、ダメージはとても大きいため、否定はしないようにしましょう。

自分で子どもの信頼を勝ち取る

昔は「お父さんの言うことは絶対」という雰囲気が家庭内であり、父親が一喝すれば子どもは言うことを聞いていたかもしれません。しかし最近では、父親の言うことを聞かない子も増えています。

だからこそ、お父さんは子どもにもっと信用されるように、言うことを聞いてもらえるポジションを自ら作っていく姿勢が大切です。最近の子は上から目線でガミガミ言われることを嫌います。

そのためには、日頃から子どものことを気にかけ「お父さんは僕を見てくれている」と思ってもらうこと、2人で遊んだり出かけたりしてコミュニケーションを取ることが大事です。

「不登校における父親の役割まとめ!取るべき対応とNG対応」まとめ

お子さんが不登校になると、事態の深刻さにやっと気づいて慌て、焦るお父さんも多いです。しかし、その焦りはお子さんを愛しているからこそ。焦り自体は悪いことではないと認めて、父親だからできることに目を向けて行きましょう。

お父さんからすれば、お母さんと子どもの絆は父親では超えられないという諦めの気持ちから子育てをつい任せてしまうこともあるかと思います。お母さんは妊娠中から子ども中心の生活になっていますし、一緒に過ごす時間も長かったりするのでそれは仕方がないことです。

しかし、社会性を教えるのは父性の役割であり、お子さんが自立するのに必ず必要なことなのです。ここで父性の役割・対応方法を学ぶことができたら、お父さん自身の自信にもなるはずですので、この機に家庭教育を見直していきましょう。

ABOUT ME
坂下
カウンセラーの坂下です。お子さんのためなら遠方でも出張カウンセリングに伺います!