高校入学後にお子さんが不登校になると、親御さんとしてはとても心配ですよね。
先日も「せっかく買った夏服を1度も着ないのではと思うと、涙が出てきて…」というお母さんがいました。不登校はお子さんも辛いですが、親御さんにとってもとても辛いと思います。
しかし「なんとか復学させたい」と焦って再登校を急かすのは、事態を悪化させることもあるためおすすめできません。
世間には「不登校理由・原因の分析をしなくても再登校はできる」という専門家もいますが、家庭教育推進協会では心理の専門家が原因のアセスメント(分析)をしたうえで、不登校の根本原因となった性格や環境なども着目して対応していきます。
不登校を再発させず、その子が強くしなやかに今後の人生を生きていくためには、性格や考え方のクセなどまで深堀してカウンセリングする方が良いと考えているからです。
そこで今回は、高校1年生が不登校になりやすい良くある理由やその対策法をまとめていきます。
高校1年生が不登校になりやすい理由
文部科学省「令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について 」によると、高校生の不登校理由(PDF資料の108ページ目)は以下となっています。
- いじめ 0.2%
- いじめを除く友人関係をめぐる問題 9.1%
- 教職員との関係をめぐる問題 0.5%
- 学業の不振 6.2%
- 進路に係る不安 4.3%
- クラブ活動・部活動等への不適応 0.8%
- 学校のきまり等をめぐる問題 0.8%
- 入学・転編入学・進級時の不適応 9.4%
- 家庭の生活環境の急激な変化 1.7%
- 親子の関わり方 3.4%
- 家庭内の不和 1.9%
- 生活リズムの乱れ・あそび・非行 14.9%
- 無気力・不安 39.2%
- その他 7.6%
世間では不登校の原因としていじめを想像される方も多いですが、統計上は高校生の不登校理由は「無気力・不安」「友人関係」「生活リズムの乱れ・あそび・非行」が多いと言えます。
特に「無気力・不安」は高校生の不登校理由1位ですが、中学生でも49.7%あり、非常に多い数字となっています。
ではこの「無気力・不安」は具体的に何なのか?も含めて、日々不登校の高校生のカウンセリングをしている立場から感じていることをまとめていきますね。
【高校1年生の不登校理由①】高校受験のバーンアウト症候群
高校入学した4~5月に多いのが、バーンアウト症候群です。「燃え尽き症候群」としてご存じの方も多いのではないでしょうか。
「目標がなくなってしまって、毎日何をしていいかわからない」「思っていた高校生活と違う」という気持ちから、不登校になってしまうのですね。
がむしゃらに頑張ってきた反動でもあり、このようなケースは心身ともに疲れ果ててしまっているので、一度休息を取り、エネルギーが溜まるのを待つのも一つの方法です。
【高校1年生の不登校理由②】希望の高校ではない
入学した高校や高校生活が、思っていたのと違っていたことで無気力になるケースもあります。
一生懸命に努力したのに志望校に入れなかったことは、10代の子にとって非常に辛い経験です。「どうせ頑張ったって無駄なんだ」という思考になりやすいため、周囲の大人がフォローしてあげるのが理想です。
入学した高校の良い所を見つけたり、受験結果ではなくプロセスにも目を向けることで「頑張った自分」を認められるようになることがポイントです。
【高校1年生の不登校理由③】中学校からの環境変化
中学校からの環境変化も、子どもにとってはストレスとなります。
特に中学時代まで学業成績が良かった子は、高校に入って周囲の子も成績が良いと相対的に自分ができないことや人より劣って感じる機会が多くなります。「みんなできているのに、僕だけ勉強に全くついていけない…どうしよう」のようなストレスも増えていきます。
しかし、このようなストレスは大人になるために非常に重要です。生きている限り、自分よりできる人が周囲にいることなど当たり前ですから。
対人関係のストレスは本人にとって辛いことではありますが、大人になって社会に出るまでに身に着けておきたいソーシャルスキルにもなるため、「成長の機会」と捉えて環境変化に耐えられるしなやかマインドを育てて行きましょう。
【高校1年生の不登校理由④】合う友人がいない
高校に入学直後に不登校になる子は、友人関係で悩んでいることが非常に多いです。
「せっかく初対面のクラスメートに話しかけたのに、無視された」「いつも一緒だった幼馴染がいなくなって、話せる人が誰もいない」といった理由で不登校になる子はとても多いです。
小中学校で仲のいい友達に囲まれて過ごすと、高校でゼロから人間関係を作るのは大きなストレスがかかって当然です。まずは「新しい環境で頑張っている」というお子さんの努力と挑戦をしっかり認めて労いましょう。
そのうえで「みんなに嫌われている気がする」など悲観がある場合等は、認知行動療法のカウンセリングも有効です。
【高校1年生の不登校理由⑤】思春期の体調変化
高校生は、中学生に続き心身ともに成長し変化するとき。体調不良で学校に行くのがしんどい日もあるかもしれません。
「お腹が痛い」「頭痛がする」などの症状がはっきりしている場合は病院の受診もしやすいですが、判断に困るのは「なんとなくだるい」といった曖昧な理由のとき。
「だるい」「身体が重い」と言われると親は「もしかして仮病?」と心配になるかと思いますが、まずはお子さんを信じて辛さに共感を示しましょう。
「本当に痛いの?」等、お子さんを疑う発言をすると子どもは「親は自分を信じてくれていない」と感じ、親子関係に亀裂を生じかねません。なので、仮病かどうかよりも、まずは「あなたの言葉を信じてる」という態度を見せて安心させてあげましょう。
そして症状に合わせて病院を受診し、身体面で異常が見つからないときはメンタルクリニックやスクールカウンセラー、当協会のような不登校専門の機関に相談してください。
高校1年生の不登校の対処法
高校1年生はそれまでよりも行動範囲も大きく広がり、交友関係も広がります。思春期でもあり、色々な変化が一気に来る年ですよね。
だからこそ、他の学年よりも不登校原因も多種多様であり、親御さんとしても対応方法に迷われると思います。
ここでは、高校1年生の不登校の対応方法について、まとめていきますね。
【高校1年生の不登校の対策法①】進級要件を確認
高校生の不登校は、小中学校までの義務教育の不登校とは全く異なります。授業を受けていないと、進級できずに退学になるからです。
そのため、お子さんが不登校になったらまずは進級・卒業するための要件を学校に確認しておきましょう。
最近では不登校の生徒への配慮も進んできて、高校によってはオンライン授業でも単位を認めてくれたりと色々な方法があるようです。配慮の内容は高校によって異なるので、まずは通っている高校に一度問い合わせてみるのが良いでしょう。
【高校1年生の不登校の対策法②】不登校原因を探る
家庭教育推進協会では不登校の原因を分析しながらカウンセリングをしていきます。なぜなら、しっかりカウンセリングした方が後々の継続登校に繋がりやすいことが明らかだからです。
例えば「人前に出るのがイヤだから、授業中にあてられたりするのが耐えられない」と不登校になった子がいるとします。単に再登校を目指すなら、先生にあてるのをやめてもらったりして再登校できると思いますが、それでは根本解決になりません。
なぜ人前に出るのがイヤなのか?の原因を分析し、その子の中に完璧主義思考があるのかどうか、人からどう思われるかを気にしすぎていないかなどを分析します。もし人の目を気にしすぎるなら「気にする必要はないんだよ」ということをカウンセリングで伝えていくことで、人の目を気にしすぎないマインドを育てられます。
そうすることで、不登校も解決しますし、人の目を気にしすぎないというスキルを得たことで生涯に渡って自分を守れるとも思うのです。
だからこそ、家庭教育推進協会では不登校原因に着目することを大事にしています。もし不登校原因がわからない際は、お問合わせフォームからご相談くださいね。
【高校1年生の不登校の対策法③】結果よりプロセスを重視
もし高校受験に失敗した等で気力を失っている場合、お子さんは潜在的に「結果が全て」と考えている可能性はないでしょうか。
たとえ高校受験に失敗したとしても、高校受験から学んだことはたくさんあるはずです。
受験勉強するためのスケジュール管理力や、毎日コツコツ問題集を解く継続力、ゲーム時間を制限した忍耐力…合格ではなかったとしても、色々な力を身に着け、努力し、成長できているはずなので、頑張った自分自身の努力を認めてあげられるマインドを育ててあげられると良いですね。
【高校1年生の不登校の対策法④】完璧主義思考になっていないか確認
近年の子ども達は、完璧主義思考の子が非常に多くなっています。高校生に限らず、小学生など小さなうちから完璧主義の傾向があるのです。何かひとつ失敗したことで、「もうだめだ」「学校に行くのが怖い」となってしまうのです。
例えば、以下のようなケースがありますね。
- 授業中にあてられ、簡単な数学の問題を間違って恥ずかしい思いをした
- 中学時代にウケたギャグを高校で披露し、みんなに失笑された
大人からすれば「そのくらいのことで?」と思われるかもしれませんが、多感な時期の子にはかなり辛く感じてしまうのです。
しかし、このような完璧主義思考は大人になってからもその子を苦しめます。「~すべき」「~でなければならない」と自分で自分自身を縛って、自分を責めやすくなっているからです。
「失敗したけど、まぁいいか」といい意味で楽観的に考えたり、1か100かで捉えるのではなく柔軟な思考にシフトしていけると日常生活でのストレスを減らすことができるでしょう。
このような場合は、認知行動療法のカウンセリングが効果的です。
「高校1年生の不登校原因と対策法4つ!高校入学を機に行けなくなる理由」まとめ
高校生の不登校は、小中学生の不登校よりも原因も対処法もより複雑で難しいです。しかも、義務教育ではないので出席日数なども気にしなければいけない上、制服などの費用も高額で親御さんからすると非常に心配なことが多いかと思います。
そしてスクールカウンセラー等に相談して「様子を見ましょう」と言われ、言われるがままに様子を見る方が多いのです。しかし、様子を見ている間にどんどん勉強も遅れ、クラス内の仲良しグループも固定化してしまい、出席日数で焦り…と、悪循環のスパイラルに陥ってしまいます。
そのため、高校生の不登校で様子を見るのは1~2週間ほどにして、それでも改善されない場合は専門機関に相談し、親も積極的に関わることをおすすめします。
家庭教育推進協会では、家族療法の考え方をもとに、親が家庭教育を学ぶことで日々の考え方や声掛けが変わり、子どもの自立を促し、家族全員が生き生きと過ごせるためのカウンセリングも行っています。
家族療法にご興味ある方は、ホームページからチェックしてみてくださいね。